機能性表示食品を販売するための届出やガイドラインについて

近年、スーパーなどで商品を選んでいる時によく見かけるようになった機能性表示食品には、私たちの興味をそそるような効能や効果がパッケージに表記されています。しかし実際にどのような商品が、どんな過程を経て機能性の表記を許されているのか、非常に気になるところです。

機能性表示食品の届出やそのガイドラインについて、あらためて詳しく調べていきましょう。

機能性表示食品の制度の意義について

企業が機能性表示食品として商品を販売するためには、国が定めているガイドラインに従って、消費者庁に対する届出を行うことが必要です。

機能性表示食品の制度が導入される以前にも食品の機能性を明確に表示できる制度はあり、トクホと呼ばれる特定保健用食品がその一つです。

しかし、特定保健用食品として食品を販売するためには、消費者庁に個別の許可を受けることが必須条件となっています。もう一つ、栄養機能食品とよばれる食品もありますが、こちらも国の厳格な規格基準に適合していないと認められません。

このように、商品に機能を表示するということは非常に敷居が高いものとなっていたことから、企業努力で開発した商品の機能を表示できる商品を増やして、消費者にとってさらにわかりやすく正しい選択ができるようにするためにスタートしたのが機能性表示食品の制度です。

表示できる対象も生鮮食品などを含め幅広い分野の食品を対象とすることによって、現在では多くの企業が機能性表示食品の販売を検討するようになっています。

科学的根拠を実証するための方法

機能性表示食品は、国が安全性や機能性について審査や許可を行わない代わりに、企業側がさまざまな臨床試験や研究によって科学的な根拠を証明して、適正かつ間違いのない表示を行わなくてはいけません。消費者に誤解を招くことがないように科学的根拠のある安全性と機能性を追求し、責任をもって届出をする必要があります。

企業側が科学的根拠を実証するためには2つの方法があり、人を対象として実際の商品が身体に及ぼす影響などについて詳細な評価をする臨床試験と、文献を検索して総合的に評価する方法です。後者は研究レビューと呼ばれますが、研究レビューには細かいガイドラインが示されていて、その手順はとても複雑になっています。

表示したい機能性に関する研究論文のデータベースから、決められたルールに基づいて論文を抽出し、商品の特性や機能性との適合度などによって論文の数を絞ったり、分類したりしていきます。表示したい機能性に対して肯定的な論文だけを集めることがないよう、否定的な結果なども全て加味した上で、機能性があるかどうかを総合的かつ公正に判断することが求められ、第三者機関に委託することも可能です。

機能性表示食品として届出できない食品

一方で、機能性表示食品の届出に関するガイドラインでは、機能性表示食品の対象商品とならない食品についても細かく決められています。まずは、実証研究の結果、機能性の関与成分が明確でなかったり、関与している成分が厚生労働大臣の定めるところの食事摂取基準に定められていない栄養素である場合には、届出が認められません。

すでになんらかの疾病に罹患している人を対象にしている食品、妊産婦や授乳婦に対する食品、未成年者をターゲットとする食品についても、届出対象食品からはずされています。また、一定の機能性が認められる食品であっても、生活習慣病などを引き起こす原因となる脂質、飽和脂肪酸、糖類、ナトリウム、コレステロールなどの過剰な摂取につながってしまう可能性がある食品は除外されます。

そのほかには、アルコール含有飲料、すでに特定保健用食品や栄養機能食品として認められている商品は、機能性表示食品として新たに届出することはできません。

機能性表示食品とは?大豆イソフラボンの効果で健康に!

届出ガイドラインに示された説明責任と安全性の確保

機能性表示食品を販売する前の届出ガイドラインには、機能性の根拠を明確にする以外にもさまざまな説明義務が課せられています。食品の製造段階における衛生管理や品質管理もその一つです。商品を大量生産する中で、製造施設や従業員の衛生状態が整っているか、規格外製品が流通することを防止するための取り組みができているか、生鮮食品の採取や漁獲の工程においても衛生管理を担保できるかどうかなどについて、体制を整えた上で、説得力のある説明を行えなければいけません。

さらにガイドラインでは、健康被害が発生することを未然に防いだり、万が一健康被害が発生した場合にも、拡大防止や情報収集ができる体制を整えておくことも義務付けられています。商品を購入する消費者自身や専門的な知識を有する医療従事者から正確な報告をスムーズに受け取れるような体制にしておくことで、安全性の確保につなげるためです。

また、消費者が直接目にすることになる食品の容器や包装への表示方法についても、食品表示基準に基づいて厳密に決められています。栄養成分の量や熱量、1日当たりの摂取目安量、消費者庁から示された届出番号、事業者への連絡方法、摂取する上での注意事項など、消費者に対するより詳細な情報開示ができるように定められています。

機能性表示食品で重要なのは機能性関与成分について知ること

届出から販売までの手順

機能性表示食品の届出の準備が整ったら、実際の申請作業に入ります。企業は、商品を販売する60日前までに届出書と資料を消費者庁長官に届け出ることになっていて、必要な関連資料としては、食品の表示内容、食品関連事業者に関する基本情報、安全性と機能性の根拠を示す情報、製造と品質管理に関する情報、健康被害の情報収集体制など多岐にわたります。

万が一記載漏れや不備があった場合には、届出書や添付書類が返送されてきてしまうので、期間には余裕をもって届出をすることが大切です。全ての資料が正式に受領されると機能性表示食品の届出番号が与えられ、消費者庁のホームページなどで商品の情報開示が行われます。

これをもって、企業では届出番号を表示した商品を販売することができるようになり、スーパーやコンビニなどに商品が並べられて消費者のもとに届けられるのです。

消費者の心身の健康につながる食品を届ける責任

機能性表示食品を販売する過程では、消費者の安全と健康を守るためのさまざまなガイドラインに基づいた届出準備が必要となり、企業側には多くの責任が伴いますが、結果的に企業にも消費者にも多くのメリットをもたらします。

今後も消費者の心身の健康につながるように、自主的で合理的な商品選択を促す制度として、質の高い機能性表示食品が数多く登場することが期待されています。

参考情報>機能性表示食品取得コンサル – 機能性表示食品の届出コンサルティングなら、薬事法ドットコムhttps://yakujihou.com/kinousei/